治療中に励まされた言葉「今、子どもを持とうと決意した自分を…」
不妊治療中は、いつももやもやとしていた。
その「もやもや」は年齢による焦燥感や先の見えぬ不安、加えて罪悪感のようなものも交じっており、そのことによって、感情はさらに複雑な化合物となっていた。それは過去の自分を責めるものであったり、あるいは義理実家や旦那に対して嫁(女)の自分を申し訳なく思う気持であったり…。もちろん、そんなことに罪悪感など感じる必要はないということはアタマではよぅくわかっている…夫も義両親も気を遣ってくれ、私が傷つくような言葉を発するどころかそのそぶりさえも一度も見せなかった。それでも、治療のため仕事を抜け出すときの、会社や同僚への申し訳なさも交じり、軽いウツのような状態になることもしばしばあった…。
そんな時の私が、ふとラクになった言葉がある。
今読むと、普通のことが書いてある、なんの変哲もない文章なのかもしれないのだが……ある漢方医の著作からです。
「子どもがいない自分を認める」
特に、長く不妊治療を続けているかたがたの中に、「子どもがいない」という事実を受け入れずこのができず、気が付けばいつもご自身を責めている姿をしばしばお見かけし、胸を痛めるとともにとても心配しています。
「子どもがいる」ということと「子どもがいない」ということは、今のあなたの状況を説明する単なる事実です。あくまでも、これまで生きてきた人生の結果でしかありません。そこに、よいとか悪いとか、立派とかそうでないとか、ましてや、男として、女としてどうとかいう価値観が入り込む余地はないように思われます。
(中略)
この本の中で、何度も「加齢が不妊の最大の原因」だと説きながら、ここであえて申し上げます。
「妊娠の適齢期は、欲しいと思えた今まさにこのとき」だと。
子どもを作ることは目的でもゴールでもありません。
「もっと早く作っていれば」という後悔には、どこか、これまでの自分を否定して、子どもを作ること自体が目的となってしまっている空気を感じます。
(中略)
今、子どもがいない自分を認めてあげてください。
今、子どもを持とうと決意した自分をほめてあげてください。
そして、これから何ができるかは、ご一緒に精いっぱい考えましょう。
「今、子どもを持とうと決意した自分をほめてあげてください」
私は、これが聞きたかった。どの病院に行っても、決して言われたことのない言葉。
オトナのくせに、ちょっと甘いと言われるかもしれない。
医療というよりカウンセリングの範疇だしね。
けれど、心と身体はつながっている。これは絶対、真実。
だから、治療中のひとは、できるだけ、ほんとうの意味で快楽的に過ごすべきだ。
この時間を、できるだけ心身ともに幸せに、過ごすべきだ。
あなたは、自分にもっと優しくして、いいんだ。
大阪の越田クリニックの志馬千佳先生。
私は、東京なので通院しなかったけれど(漢方自体は何度か試した)、この文章を読んだとき、心のもやもやが、少し晴れていくように感じたんですよ。だから、非常に恩義を感じているのです。上記引用は、P66ページより。
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