私がKLC(加藤レディスクリニック)に転院した理由①
KLCの前に、約2年間通っていたM医院でのこと。二度目の移植が陰性に終わった後、久々に病院に行った私の前に現れたのは、それまで担当だった院長先生ではなく、新入りの勤務医の女性だった。年齢は、ほぼ私と同じか、もっと若い。
「もうすぐで39歳ですし、後がないですよね…もう、どうしたらいいのか…お金もかかりますし、ちょっと今、治療継続に迷いを感じています」
できるだけ冷静に…自分。
「…」
「こんなことを聞くのもなんですが、私が妊娠できる可能性はどのくらいでしょうか? おわかりになる範囲で、先生の…主観でけっこうですので、何かおっしゃっていただけないでしょうか」
ダメならダメと言って !もう辛くて死ぬよ! と本当は叫びたい気分。けれど医者はカウンセラーではない。心理的なフォローは期待しないほうがいいとわかっていても、どうしても、苦しい感情が漏れ出てしまう。
「そうですね…」
女医はふっと視線をそらして手元のカルテを見た。
「生理三日目のFSHが16です。FSHの意味は理解なさってますよね…」
「はい…」
FSHは卵巣刺激ホルモンのこと。病院に初めて来たとき、私は生理開始3日目の「FSH=7」だった。「少し高めですね。卵巣の機能が衰えていますね」と院長に言われたのを覚えている。それから通院して2年間の間に、FSHの数値は7→16へと上昇してしまっていた。なんと倍以上である…。
「FSHは、10を超えると、自然妊娠する方は稀なんですよね…」
稀。まれ。マレ、という単語が頭を駆け巡る。
「もちろん、可能性はゼロではないんですが。でも、FSHは一度、上昇するとほとんど元には戻らないので…転院してもいいかも…」
さいご、独り言のように女医は言った。
えっ!?
いまなんつった?
転院してもいい?
てか、転院しろってこと?
あれっ?なんで?でもそれって??
私は女医の真意を、わざわざ確かめなかった。でも何となくわかる気がした。この病院ではダメなんだ。なんだ、そういうことか。
早合点で勘違いか、わからないが、この人は新入りだからこそ言えることを言ってるんだ、とその時思った。あるいは、見放されたか。
この二年、私は何をやっていたのだろうか。
家に帰り、amazonで、有名な「不妊治療はつらくない」を注文した。
不妊治療はつらくない―むだな検査や薬がふたりの赤ちゃんを遠ざける
- 作者: 加藤修
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2002/04/01
- メディア: 単行本
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「不妊治療はつらくない」って、まあ、「不妊治療はつらい」ということを前提にしたタイトルですよね。まあ、その通りなのだが。
しかしこれは、なかなか良い本です。感動的ですらある。一部、賛同できない部分もありますが(後述)。
もしもKLCに通院しようかどうか迷っている方がいたら、一読することをお勧めする。といっても、これは現在の院長でなく、先代の院長(創業者)が書いた本。だから、この本から受けた雰囲気を、現実の病院に期待すると、ちょっとガッカリするかもしれない。それから、病院に行くと初診のとき、無料で、もらえます(少なくとも2012年の時点ではそうでした。よって、私の手元にこの本は2冊あります)